2018年01月22日

垂直と斜線による対象の構造的表現


画家の良き友人であり、1895年に画家の生涯唯一の個展を開催した画商としても知られるアンブロワーズ・ヴォラールの姿。セザンヌは肖像画制作にあたり長時間、しかも100回以上、モデルであるアンブロワーズ・ヴォラールにポーズを取らせていたと伝えられている。

垂直と斜線による対象の構造的表現。1880年代後半からの画家の肖像画の大きな特徴となる(特に垂直が強調される)直線的な構造描写は、画商としてのアンブロワーズ・ヴォラールの表裏を見事に捉えている。

膝の上に置かれるアンブロワーズ・ヴォラールの右手。色彩表現においても、明確な輪郭線に覆われた対象の中へ重厚感に溢れた太く角形的な筆触によって描写しながら、赤色・黄色系と緑色系という対照的な色彩を効果的に対比させることによって絶妙な色彩的均衡を生み出すことに成功している。  


Posted by ルイ at 16:06Comments(0)